はまはらのフィギュアスケート感想記

フィギュアスケート観戦が趣味です。大好きな選手のこと、観戦の感想などを書いていきます。特に好きなスケーター☆宮原知子さん/町田樹さん/ネイサン・チェン選手/鈴木明子さん/エリザベータ・トゥクタミシェワ選手…他多数

少しずつでも、前へ(ロシア大会の感想)

こんにちは。はまはらです。

GPSロシア大会が終わりました。
日本からは知子ちゃん、優奈ちゃん、ゆは菜ちゃん、昌磨くん、友野くんが出場。
みんなそれぞれ失敗はあれど、懸命に滑っていましたね!
知子ちゃんを中心に、印象に残った選手たちについて触れていきたいと思います。

まず、復調しつつある昌磨くん。まだミスはあるものの前回のフランス大会とは見違えるような演技でしたね!
フリーは思わぬジャンプスルーにすごくびっくりしましたよ。全日本の佳菜子ちゃんが頭をよぎった人も多かったんじゃないかな(笑)
ハラハラしながら見ていましたが、ラストに4Tをぶっ込むとは思わなかったなあ。
3回転ジャンプにしたら良かったのに、とも思いましたが、あれが昌磨くんなんでしょうね。
見た目以上に真面目で不器用で……でも本人すごく楽しそうでした。終わったあと半笑いだったので、思わずこっちも笑っちゃいましたよ!
ランビ先生が今回見てくださって、本当に良かったなあと思います。相性すごく良さそうだし、このままコーチになる可能性もありそうかな。
全日本に向けて、またランビ先生のもとで練習を積むとのことで、完全復活に向けて頑張ってほしいですね。

ゆは菜ちゃんは今回がグランプリシリーズデビュー戦! ショートもフリーも見事に持ち味を出していたと思います。
ゆは菜ちゃんの演技、すごく好きなんですよね。
スピードとパワーがあって生き生きしてて、本当に表情豊かでワクワクさせられる! 見ていて楽しいと思えるスケートの理想形だと思います。
ショートでは悪女、フリーではオペラ座のクリスティーヌと、完璧に演じ分けていました。
特にフリーは、壁にもぶつかる転倒ですごく痛そうだったのに、すぐに表情を作って演技を途切れさせることがなかったので、終わるときには「あれ、転んだんだっけ?」という感じでした。
女優魂というか、意識の高さを感じて、なんて素晴らしいスケーターなんだろうと思わされました!
緊張はあっただろうけど、インタビューとか見てると基本いつも地に足着いてるし、冷静なんですよね。カッコイイし尊敬できる選手だなあと思います。
すぐさまNHK杯があって連戦になりますが、強い気持ちでさらに良い演技を期待したいです!

メドベちゃんは、完全復活と言って良い素晴らしい演技でした。
ショートとフリーを揃えられただけでなく、内容も良かった! ショートではエッジが課題のルッツを外してループにする戦略がうまくハマりましたね。苦手な2Aもうまく決まって会心の出来だったと思います。演技後のガッツポーズと、オーサーコーチに「Finally」と言っていたのを見て、思わず込み上げるものが……。
点数発表後には、盛り上がる自国の観客たちに対してクールダウンの仕草。直後に滑るベルたそを気遣ったメドベちゃんの優しさが感じられるシーンでした。(大好き)(最高)
フリーはとにかく衣装がすごく素敵なんですよね。日本選手の衣装でもお馴染みのチャコットの伊藤さん作です。これがもう、メドベちゃんに抜群に似合ってる! 特に袖とスカートの青色のグラデーションぽいのが最高!(語彙ゼロ)
演技も、メドベちゃんの作品を演じ切るという強い気持ちを感じました。
最初に完全復活と言いましたが、もしかしたらこの言葉は適切ではないかもしれません。拠点を変えて、新しいコーチのもとで練習するようになり、この2シーズン苦しみながら戦ったメドベちゃんは今回生まれ変わったようなもの。
強くてタフで美しい新生メドベちゃんの演技を見て、できることなら長く長く滑り続けてほしいなあと心から思いました。

そして知子ちゃん。
ショートはまさかのルッツ抜けで、6位スタート。日本時間は深夜だったんですが、しばらく呆然として眠れませんでした。それくらい、見たことないようなミスでびっくりしたというか、ショックだったんですよね。
直後のツイートがコレ。


冷静っぽく見えますが頭の中は真っ白です(笑)
インタビューでは6分間練習がうまくいかず、不安なまま臨んでしまった結果タイミングが合わなかった、ということでした。
確かにどれだけ公式練習で良くても直前で不調だと不安にもなりますよね。そういうときって、もう開き直るしかないのかな。
とはいえ、ミスを引きずらない姿は素晴らしかったと思います!
知子ちゃん自身は冷静じゃなかったと言っていましたが、ステップは中国大会より上のレベル4を獲得できていましたし、しっかりラストジャンプにセカンドをつけてリカバリー! 私なんかルッツ抜けから演技が終わるまでずっと「あわわわ」状態だったのに、やるべきことをやる知子ちゃんは本当に立派でした。
しかし難しいプログラムですね。すべてが音ハメされるように綿密に計算されていて、物凄い密度になっているので、リカバリーするとどうしてもズレてしまう。ラストのレイバックがレベル3になったのも、曲に合わせようとして回転が足りなくなったせいかもしれません。ミスの許されないプログラムなんだなと、あらためてその難易度の高さを感じました。

翌日のフリーの演技は、またも心に刻まれるものとなりました。
たくさん回転不足はあったし、転倒もあった。完璧ではなかった演技です。
それでも私は終わった後、涙が出るほど感動したし、見ているときは回転のことなんて頭にありませんでした。それくらい作品世界に引き込む力、見ている者を没頭させるエネルギーが凄かった!
PCSは2位。スピンとステップはトップです。(さすが!)
でも、どんな数字よりも知子ちゃんの演技からは伝わってくるものがある。訴えかけてくる感情の渦は、画面越しからでもとてつもない臨場感とともに強く強く感じられました。
いつかこのプログラムが完成する日を夢見て、楽しみにしたいと思います。

その後のインタビューで、知子ちゃんは疲れを感じていたことを明かしました。練習で上手くいっていても、やはり短いスパンで連続して本番を迎えると、精神的にも肉体的にも消耗してしまうんですね。
直前練習での不安、初めての連戦による疲労……本当に大変な試合だったと思います。
でも、きっと知子ちゃんはこれを糧にするんじゃないかと思うんです。
この先、同じような状況を迎えたときに今回の経験が生きてくるようになるんじゃないかな。
課題がたくさん見つかったのは、前向きに捉えれば伸びしろがまだまだあるってことだと思うし。

知子ちゃんが今シーズン自ら難しい道を選んで進んでいることは、これまでを見ているととてもよくわかります。
新しい環境、難度の高いプログラムへの挑戦。それは恐らく知子ちゃんが見据える未来のためのもの。
「少しずつしか進めないのが私なので、それとうまく付き合いながら我慢強く頑張りたい」
そう話していた知子ちゃん。
たとえその前進がどれだけ微々たるものだとしても、確実に強く、魅力的なスケーターになっているのを皆が知っています。(実際今大会、すごくスケーティングが力強く、伸びのあるものになっていると思いました! ヌメーーーーって感じ!)

ファイナルへの可能性が低くなったことは少し残念だけど、これから体と心を休めつつ、全日本へ照準を定めてまた頑張ってほしいなと思います。
少しずつでも前に進んでいく知子ちゃんは、いつの日かきっと今日よりずっと強くなれる。
そう思わせてくれたロシア大会でした。