はまはらのフィギュアスケート感想記

フィギュアスケート観戦が趣味です。大好きな選手のこと、観戦の感想などを書いていきます。特に好きなスケーター☆宮原知子さん/町田樹さん/ネイサン・チェン選手/鈴木明子さん/エリザベータ・トゥクタミシェワ選手…他多数

2019-2020 お気に入りプログラム集

こんにちは。はまはらです。

世界選手権が中止(延期?)になり、なんとなく宙ぶらりんな気持ちのままシーズンが終わってしまいました。
こんなときだから仕方ないとはいえ、完成形を見たいプログラムはたくさんあったのでとても残念でしたね。
また見たいなって気持ちも込めつつ、2019-2020のお気に入りプログラムを発表したいと思います。
とはいえ、好きすぎて順位つけらんないなーというのが正直なところなので、私も某アワードに倣って部門別にしてみました!

【最強個性爆発プログラム】
黒い十人の女』(横井ゆは菜)
https://youtu.be/uU1RBGr2vp8
女優横井ゆは菜の真髄って感じで最高!
振り付けがめちゃくちゃ面白いですよね。
コンパクトを開いてメイクを直しているような仕草や男を誘うような妖しい視線……役に入り込みすぎてて、ゆは菜ちゃんてこういう女性なのかなってつい思わされるような演技。
このプログラムは曲調の変化がすごく激しいんだけど、スピンとかジャンプが効果的に配置されてるからツギハギ感がなくてパキッとした場面転換になってます。
最後のコンビネーションジャンプのところとかかっこいいよなあ。めっちゃ盛り上がる!
ステップもスピードに乗ってるし終わり際のハイキックが最高!
黒い十人の女の元ネタのドラマは見たことないんですが、10股(既婚者で9人と不倫している)の男に復讐する女たちの話らしいです。強烈ですね……。(笑)
ゆは菜ちゃんのプログラムでは、最初に男を翻弄するような百戦錬磨感のある顔を見せていたかと思えば、最後は勝ち気で強さ溢れる姿も見えて、これは1人の女性の変化なのか、女たちの全く違う人物像を描いているのか気になるところです。
シーズンを締めくくるチャレンジカップでは、最高の演技を見せてくれました!

【息ピッタリ!ハッピープログラム】
ドン・キホーテ』(吉田唄菜/西山真瑚)
https://youtu.be/HdTV35ZV8hk
カップルを組んで1年の2人が、今シーズンたくさんの幸せをくれました。
最初の表情がもう良いですよね!心底楽しんでますって感じで、見てる方もニコニコしちゃう。
唄菜ちゃんの溌剌とした可愛らしさと真瑚くんの優雅さ、ジェントルな雰囲気がすごくマッチしていると思います。
ツイズルが素晴らしいのはもう言うまでもない気がしますが、この2人はスピンもうまいですよねー!
スピンしてる最中も柔らかな腕の動きで曲を表現しているのが良い!
ステップのところもエネルギーが落ちないままなので最後までずーっと楽しい気持ちで見ていられます。
うたしんの将来に胸をふくらませずにはいられなくなる、名プログラムだと感じました。

【超絶キレキレプログラム】
『Hip Hip Chin Chin』(田中刑事)
https://youtu.be/eiuj-5F_TAY
正直このプログラムは初めて見た瞬間に「今シーズンのベストプログラムだ!」と確信しました。
この曲で滑りこなせる選手が、果たして世界に何人いるだろう……。
アシュリーの演技も有名ですが、刑事くんのはまた違った魅力がありますよね。
シャツは派手で、一見するとチャラい雰囲気もあるんですが刑事くんの持っている上品さと所作の丁寧さが良い具合に作用して、男性的かつ健康的な色気を感じさせるものになっていると思います。
ちょっとした音ハメがオシャレですよね。「Hip Hip」の声が入るとことか。
指先も素敵。こんなリズムの曲で、手をひらいたときに指先を美しく見せられるのは、刑事くんがこれまで身につけてきた表現技術がいかに素晴らしいものか、ということ。
あとはもうステップの迫力ですよね!とにかくキレがすごい!上半身のムーブメントも複雑なのに、足元はすごいスピードで刻んでいく。
いやあカッコイイなホント!
ジャンプがなかなかハマらず悔しい思いをしていたからこそ、世界選手権でパーフェクトな演技が見たかったですね。
来シーズンもSP継続してくれて全然構わないですよ!

【ひたすらかっこよさ炸裂プログラム】
『Great Sprit』(宇野昌磨)
https://youtu.be/H04CiXcYduA
昨シーズンのエキシビションのときから最高にハマってたプログラム。大好きなんですよねこれ。
ショーのときの派手なメイクとか衣装とかもう良すぎた。全日本の衣装もいいけどこのプログラムはどこまでも派手にやり切ってほしい!っていうのが個人的な願望!(笑)
しかし素晴らしいパフォーマンス。今シーズンは苦しかったですもんね。全日本の感動もひとしおでした。
基本的に音をそのまま表現することが多い昌磨くんに、このプログラムはピッタリだと思います。
ビートを刻んでいるのが目で見てわかる感じ。
滑りも独特の「圧」があるので、激しい曲に負けないでいられるんですよね。
そして決めポーズがかっこいい。否が応でも盛り上がるよなあ!
曲のタイトル通りの精神力と強さを見せた全日本の演技は、間違いなく完全保存版だと思います。

【胸がギュッとなるノスタルジックプログラム】
ニュー・シネマ・パラダイス』(ブレイディ・テネル)
https://youtu.be/IE6UZeXTF4U
これはもう今シーズンずっと言ってきましたね、本当に大好きなんです。
特にこの四大陸の演技は、柔らかさや穏やかさがステップのシーンとかでも良く表現されてて、感情を乗せながら滑っているなあと思います。
映画も見てみたんですけど、なんていうか、号泣するような感じじゃなくてじんわりと心が暖かくなるような感じなんですよね。主人公と映画技師の友情と愛情、愛する人との恋と別れ、映画への愛……いろんな感情が去来しました。
人との繋がり、想う心は年月を越えて、その人なりの形で届く。不器用な愛情も、その意味がわかると愛おしい……そんな気持ちにさせられました。
映画を見てからブレイディの演技を見てみると、ふとした表情の変化に切なさを感じることも。
強いだけじゃない彼女の新しい表現がいくつも見られた代表作だと思います。

【心身表現シンクロ率100%プログラム】
『Dancing On My Own』(宇野昌磨)
https://youtu.be/zLVygLChF_U
ジャパンオープンで初めて見て一目惚れしたプログラム。
そのときはまだ未完成な感じもありましたが、力強くも切ない歌声と昌磨くんの滑りがとても合っていると感じました。
タイトルは『僕は1人で踊っている』という意味。
シーズン中の苦しい期間は、コーチを付けずに本当に1人だったこともあって、もがいている姿が寂しく、見ていてとてもつらそうでした。
でも、その時間を乗り越えて新たなコーチとともに歩み始めた昌磨くんは、この音楽と心をひとつにして滑ることができるようになったと思います。
歌詞の内容は明るくないけれど歌声は真っ直ぐ。ピアノの音色とともに顔を上げて前を見つめる振り付けが、すごく印象に残るんですよね。
どんな絶望の底でも、顔を上げれば希望が見えてくる……昌磨くんのこのプログラムは、そんな気持ちにさせられます。
笑顔で滑ってるの見ると泣いちゃうなあ!

【心震えるハイパフォーマンスプログラム】
『The Sound of Silence』(ドミトリー・アリエフ)
https://youtu.be/FvDXCulzuDM
正直なところ、このプログラム初期は全然ピンときてなかったんです。
なんでかって言うと、力強すぎる歌声と後半にはガス欠をおこしてるアリエフの体力がミスマッチだと感じたから。
歌に演技が迫力負けしちゃってる印象がどうしても拭えなかったんですよね。
でも、ユーロでの演技は違いました!
冬のピンと張り詰めた冷たい空気を切り裂くようなジャンプが次々と決まっていきます。
体の動きもしっかりコントロールされていて、だんだんと強さを増していく歌声とともにスケールを大きくしていく滑り。
この試合にかける気持ちも、バシバシ伝わってきました。
ラストは震える両拳をグッと握って、まるでガッツポーズのようにも見えました。
表情も相まって見てる方も込み上げるものがあります。
ユーロの新チャンピオンとして、素晴らしいパフォーマンスを見せたアリエフのこのプログラム、気づけば大好きになっていました。

【音楽を完璧に捉えた芸術的プログラム】
『宿命』(鍵山優真)
https://youtu.be/ZAm6tYLtR4g
四大陸でパーフェクトな演技をしたときに、もう完全に虜になりましたね。好きすぎて何回も見ちゃう。
鍵山くん、この歳にしてピアノの音色が似合う選手ですよね。滑りが美しくてノーブルな雰囲気をもってるから、硬質な音がスケーティングを引き立たせている気がします。
最初のポーズも好きだなあ。なんかわざとらしくないんですよね。さりげなくかっこよく見える。
そんでこの4T!一瞬の無音で完璧にハマるジャンプ!これがすごい。この瞬間だけで鳥肌がたっちゃうよ。
スピンのときも妥協せず曲を表現していて最高。腕の動きが多彩なのに回転のスピードがまったく落ちないのが素敵。
そしてステップ!もう何回でも言うけど少し立ち止まって順番に両腕を上げる振り付けが大好き。
宿命は本当に哀しく重いストーリーなんですけど、それを単に表情やマイムで伝えるんではなく、身体の表現で深いところを想像させながら魅せるところが凄いなあと思います。
哀しみとかよりももっと根源的な……それこそ「宿命とは?」みたいな部分まで問いかけられているような、そんな気にさせられました。

【2つの感情を自然に同居させる革新的プログラム】
『映画「ロケットマン」より~』(ネイサン・チェン)
https://youtu.be/Fr4UCEjwrtA
今シーズン、最も繰り返し見ているプログラムです。
もうこれまで好きなところは散々書いてきたんだけれど、どうしてそんなにこのプログラムが好きなのかよく考えてみると、相反するはずの「孤独感」と「楽しさ」が存在しているからなのかなというところにたどり着きました。
天才かつマイノリティゆえの孤独を抱え、愛されたいと願いながら人々の前に立つエルトン・ジョンの人生を描くのがロケットマンという映画。
それを見てからは、文武両道を実現させ世界の頂点に立ち、広いリンクで踊り続ける……ネイサンの心中はわかりませんが、孤独に思うときもあるのかな、なんて想像しながら重ね合わせるようになりました。
映画の中でどん底のシーンで流れた曲ばかりを使っているし、歌詞の内容を聞いてみてもやはり孤独を表現しているのは間違いないと思うんですよね。
印象的なのは「Goodbye Yellow Brick Road」から「Rocket Man」に切り替わる際のスピン。
風に煽られるような頼りなさや脆さを感じるんですよね。いや、宇宙へ行くならむしろ風よりも無重力感(無力感)かもしれないな。
そこから本当に宇宙へ飛び込んでいくような3Aでメインテーマに入っていく。
ここのステップが本当に好きです。スケールが大きいのに、歌声も相まって寂しさが噴き出してくる感じ。
「I’m not the man they think I am at home
Oh no no no, I’m a rocket man~」の一連の動きがもうたまんないよなあ。
宙を指差すときは宇宙へ思いを馳せるようにも見えるんだけど、そのあとすぐに俯いて頭を抱えるような仕草。
宇宙への憧れと家への思い、寂しさがあって、でもロケットマンだから跳ばずにはいられない……そんな苦悩が見えてきます。
そう思うと、その後に待ってるビッグジャンプのラッシュも表現の中の一部として感じられるんですよね。
そしてラストのコレオ!ここにこのプログラムの楽しさが詰め込まれてて最高!
ため込んできたものを爆発させるような激しいステップワークとヒップホップの動き、表情。見ていて本当にテンションが上がるし、ワクワクするんですよね。
このコレオは間違いなく革新的なもので、今シーズン話題にもなりましたよね。
不思議なのはこれだけ寂しさや孤独感でいっぱいの作品の終わりが、こんなに楽しくて成立しちゃうんだってこと。
普通はちょっとツギハギに感じたり違和感を覚えるものだと思うけど、なんか自然に受け入れられるんですよね。
それはたぶんこの「Bennie And The Jets」も、映画のどん底シーンで使われているから。
曲は楽しい雰囲気だしめちゃくちゃ盛り上がるんだけど、ベニーとジェッツは架空のバンドだし、ベニーはおクスリの隠語らしいし、実際薬物でぐちゃぐちゃのシーンで使われるし……ていう具合に、このプログラムで使われてきた他の曲のテーマ「孤独・寂しさ」と繋がってるんですよね。
だからこのコレオの場面も本当に楽しいしかっこいいんだけど、上手い具合に浮かないんじゃないかな。
そう考えると物凄く練られたプログラムだなあと感じます。
コレオはブラッシュアップもされていて、完全版を世界選手権で……と思っていただけに悔しいです。
でも、今シーズンこの作品と出会えたことは本当に良かったと心から思っています。

【どこまでも繊細かつ血の通った名プログラム】
シンドラーのリスト』(宮原知子)
https://youtu.be/OGoyWOjlxxQ
このプログラムについて語るのが一番難しいです。
見ていると感情がぐちゃぐちゃになるときもあれば、何も考えられなくなるときもある。
涙が止まらなくなるくらい悲しいのに、それだけじゃないんですよね。
解説も実況もない、会場音だけの演技を選びました。
この演技は誰の声も間に入れたくないし、入れてはいけないような気がします。
静かなところでただ1人きりで見ていたいな。
どこが好きとか印象に残るというよりも、もう1つの作品としてこのプログラムを愛しています。
懸命に滑る様子は人の生きる姿にも似てるんだなと感じました。
衣装の片手についているヒラヒラが風を視覚化していて素敵です。
世界選手権で完成形を見たかった……来シーズンもできれば継続してほしいと願っています。

【フィギュア史に残したい神コラボプログラム】
ひこうき雲』(宮原知子withToshI)
https://youtu.be/JTLZtpAdKcQ
ファンタジーオンアイスで実現したコラボプログラム。
うわああああああ生で見たかったよおおおおお!
もう間違いなく個人的No.1コラボです!
この組み合わせを考えた人に全力でありがとうと言いたい!
ToshIさんの美しくも切ない歌声と知子ちゃんの清廉な滑りがなんとマッチしていることか!
表情も良いんですよね。優しくてあったかい……ジャンプも柔らかい雰囲気で、本当に曲の世界観を大切に滑っているのがわかります。
2番の最初のとこの振り付け好きだなあ。
凄いと思うのは、サビの部分。1番と2番と最後、全部違う表現なんですよね!2番のスパイラルはもう王道で最高だし、白い衣装を纏った知子ちゃんがスーッと滑っていく様子は本当にひこうき雲のように儚く美しい。
驚いたのは最後のサビのところ、スピンなんですよね。
通常スピンって曲の変わり目とか、ゆったりした部分とか締めで使われるエレメンツなイメージが強いんですけど、1番盛り上がる部分に入れてきたのにビックリしました。
でもそれが良いんですよね。すごく合ってる。
知子ちゃんのスピンは綺麗だし、目を惹くので十分ハイライトになるんだなあとあらためて感じました。
ラストに空を見上げて終わるのも良いなあ。
またどこかで見たい名コラボです。

以上が、2019-2020のお気に入りプログラムです。
先が見えない毎日ではありますが、大好きな演技に力をもらって頑張って過ごしていきたいと思います!
皆さまもどうぞお気をつけて。
健康に来シーズンを迎えられますように。