はまはらのフィギュアスケート感想記

フィギュアスケート観戦が趣味です。大好きな選手のこと、観戦の感想などを書いていきます。特に好きなスケーター☆宮原知子さん/町田樹さん/ネイサン・チェン選手/鈴木明子さん/エリザベータ・トゥクタミシェワ選手…他多数

生きるように踊り、踊るように生きる人(鈴木明子編)

こんにちは。はまはらです。

今回は、私がフィギュアスケートを見ていて初めて好きになった選手であるあっこちゃんについて、愛のままにわがままに(!)語りたいと思います。

あっこちゃんを初めて見たのは、バンクーバー五輪の出場がかかった2009年の全日本選手権
タイミングよくフィギュアスケートがテレビでやっていれば、なんとなくチャンネルを合わせていた……というくらいのテンションだった私にとって、そのときの女子ショート、そしてフリーであっこちゃんが見せた演技はあまりにも衝撃的でした。

『アンダルシア/ファイヤーダンス』
https://youtu.be/GVeDBsnLwTw
衣装とヘアアクセで100点満点中1000000点て感じ。(?)
音楽がなり始めた直後の射抜くような眼差しに一気に心を掴まれます。かっこいいなーもう!
初っぱなのコンビネーションジャンプの後、曲に合わせて頭上で手を叩くの超好き。
ロングスパイラルで最高潮に達したヒリつくような緊張感から2Aでバッと解放されて、いよいよ始まるスーパーあっこタイム!!
これはアガる!歓声も上がる!高速スピンで〆!
「どうだ!」って表情に、もう参りましたって感じ。
やばいよかっこいいよ……こんなにもかっこよく踊る選手を初めて見た私は、一気に虜になりました。
恋しちゃったんだー、たぶんー気づいてなーいでしょー。

『ウエストサイドストーリー』
https://youtu.be/urnMcbhKjZs
伝説の演技ですよね、もう。
涙腺崩壊率100%。楽しくてたまらないのに、終わったあとは泣けて泣けてしかたないんだよなあ。
序盤の、パチンパチンて音が鳴るのに合わせて指を鳴らす振り付けオシャレ!
ループでちょっと堪えた着氷になって、駆け出すときに転んでしまうシーン、最初に見たときはビックリしました。
でもまったく引きずることなく、むしろ吹っ切れたように伸び伸びと滑っていきます。
スパイラルやスピンのときの腕の動きが美しいなあ……。
ジャンプとかスピンのときに一緒に回る肩の紐もなんかイイ感じ!ポニテは大正義!
そんで指差しを合図にベリーあっこタイムスタート!!た・の・しーーーー!!!
トんでハネて滑って踊って…なんていうか氷上で自由なんですよね。競技であることを忘れさせられました。

あっこちゃんはこの全日本で見事バンクーバー五輪のチケットをゲット!本当に劇的な瞬間でした。
たとえテレビ越しでも、あの瞬間にあの演技を見られたことは、後から考えると自分にとって本当に大きかったですね。
エストサイドストーリーは、オリンピックの舞台でも大盛り上がりで、バンクーバーのお客さんも大勢手拍子していました。
ショート11位から追い上げて8位入賞。素晴らしい結果でしたね。

それから私は、あっこちゃんの演技を中心に動画巡りをするようになります。
あっこちゃんのおかげで、フィギュアスケートに強い興味を持つようになったんですよね。
グランプリシリーズのしくみとかはいまいちよくわかっていなかったけれど、いろんな選手の演技を見て感動したり驚いたり、新鮮な気持ちを味わわせてもらいました。

2010-2011シーズンで印象に残っているのはフリーの『屋根の上のバイオリン弾き』。
https://youtu.be/SFfEsyxeX8Y
特に後半のスピンで一気に曲調が変わる場面。金管楽器の音色に合わせて手をバッと広げるところで惹き込まれます。
ハイライトはその後のステップ。投げキッスして手を振るとこ可愛い!
急にテンポが変わったりする難易度の高い部分でも、曲をバッチリ表現しながらステップを踏んでいく姿は圧巻です。
かなり激しく身体全体を動かしているのに、まったく雑にならないところがすごいですよね。

2011-2012シーズンは進化の年になりました。
『ハンガリアンラプソディー』
https://youtu.be/2zthnRFo4iI
当時あっこちゃんは20代半ば。このNHK杯で、初めてSPで3T-3Tのコンビネーションジャンプを成功させます。
摂食障害という難しい病気を乗り越えて、遅咲きの選手と言われるなか新しい武器を手に入れたあっこちゃん。本当にかっこよかったです。
特にこのときの演技は、すべてがガチッと噛み合ったように見えたなあ。あっと言う間に終わっちゃう。
あっこちゃんのステップも素晴らしければ、お客さんの手拍子もすごい!(笑)
パーフェクトに決まって、演技後ピョンピョン跳ねるあっこちゃんが可愛い!
長久保先生は点数を聞いて「どうすんだよお前~」って言ってましたね。この師弟の空気感好きだなあ。

そしてフリーは『こうもり序曲』。
https://youtu.be/bNu6UtYLge4
鮮やかなブルーの衣装が本当に素敵!デコルテのとこのキラキラがスーパーゴージャス!
ユロスポの解説者も言ってるとおり、本当に夢のような滑りで、見ていて最高に楽しいんですよね。
観客とコネクトするってこういうことなんだろうなあ。
あっこちゃんのスケートは、自然と手拍子をしたくなるし、笑顔にさせられる。
そういう魅力がたくさんつまったプログラムだと思います。
ジャンプも決まったものは大きくて綺麗だし、スピンも前年までに比べてかなり良くなっているのがわかるんですよね。
この世界選手権で、あっこちゃんはついに銅メダルを獲得しました!
表彰台が決まったときはめちゃくちゃ嬉しかったなあ。

2012-2013は、新しいあっこちゃんを知ったシーズンになりました。
キル・ビル
https://youtu.be/c6p6gNnKg9c
かっこいい!徹頭徹尾かっこいい!!
当時は点数が出にくいプログラムという意見もありましたが、ねじ伏せましたよね。
実際かなりハードめなタイプなのでその意見もわからなくはなかったんですが、結果としては鈴木明子というスケーターをさらに魅力的にしてくれた作品になったと思います。
メイクも良いですよね。この真っ赤な口紅。素敵すぎる!
最初のコンビネーションジャンプといい、エレメンツの配置も絶妙!ここしかないってところでジャンプやスピンが入るの最高なんだよなあ。
普通のクロスでさえ超かっこいいんだよね、どうなってんの???
ルッツの後のムーブメントが神。ジャッジに向かって左足のハイキック!曲に合わせてバッバッバ!ってやって腕を広げるとこ好きすぎ。(語彙ナシ)
そんでハイ!来ました!みんな大好きハイドロ!ギャーかっこいい!
……はー……やばいですね。このままだと全部の振り付けに叫ぶことになるのでこの辺にしときますが、改めて見てもかっこいい。
これってひたすらに「強い女」のプログラムなんですよね。
今活躍している多くの後輩スケーターたちに、かなりの影響を与えていると思えます。

シルク・ドゥ・ソレイユより”O”』
https://youtu.be/HTnkJ8w38dY
伝説の演技その2。
何もかもが最高のこのプログラムについて、どこから話せばいいのやら。
まずはやっぱり衣装かな。フィギュアスケートの全てのカテゴリの中でも、TOPにくるくらい素敵な衣装だと思います。
グリーンとブルーの色合いもド好みだし、スカートの雰囲気や羽をモチーフにしたようなヘアアクセも良い。
衣装にピッタリのアイシャドウも綺麗です。
鳥たちのさえずる声から始まり、ピアノの音に合わせて首をかしげる。このスタートの時点で名作だとわかります。
首、腕、指先、視線……足元はもの凄く複雑な動きなのに、上半身の表現が本当に多彩で見とれてしまう……。
ステップのシーンはオリエンタルな雰囲気って言っていいのかわかりませんが、凄く好きです。
どんな動きにつながるのか予想できなくて、本当に自然の中にいる野鳥を離れたところから観察しているような気分。
その後で風の音が聞こえてきて、旋回するように始まるコンビネーションスピンが秀逸。
シットスピンでの様子が羽をたたむ鳥の姿に見えます。
場面の展開がめちゃくちゃスムーズで、一羽の鳥の生涯を見ている感覚。
そしてコレオ!!!神コレオ!!!号・泣!!!!
疾走感凄い……神スパイラル……踊るように羽ばたいて最後には空を見上げる……。
カタルシスがヤバい。もう名作中の名作。私がジャッジなら曲の解釈1000000点です……。
いつもコレオの場面で涙腺がぶっ壊れるんですけど、なんでなんだろう。
懸命に生きてきた一羽の鳥が、命を燃やすように飛んでいたからなのかな。

そして2013ー2014。オリンピックイヤーであると同時に、あっこちゃんにとって現役最後のシーズン。
寂しさはあるけれど、それ以上にやりきってほしいという気持ちが強かったですね。
愛の讃歌
https://youtu.be/AR-K3C_-qo0
「最後は長久保先生の大好きな曲で」というあっこちゃんの愛がたっぷり詰まったこのプログラム。
見るたびに泣いてしまいます。
私はあっこちゃんと先生の旅路をメディアを通してほんの少ししか知らないけれど、それでもふたりのこれまでの時間とか想いとか、そういったものに思いを馳せて、グッときてしまうんですよね。
スタートポジションで少し微笑んでいるのが素敵。
ヴァイオリンの柔らかく優しい音色があっこちゃんのスケートと一体となっています。
ハイライトはステップの場面。
集大成の表現技術が盛り込まれているけれど、そこにはまるで少女のように溌剌とした姿もあるんですよね。
じんわりと胸が暖かくなる、本当に素敵な作品だと思います。
あっこちゃんの最後の世界選手権でこの演技ができたこと、本当に嬉しかったです。

オペラ座の怪人
https://dai.ly/x1ziim8
やっぱり思い出深いのは全日本。あっこちゃんの最初で最後の優勝の演技。
この曲はもう王道中の王道ですよね。演じる難しさもあったはずだけれど、あっこちゃんだからこそ可憐さと愛情深さを持つ素敵なクリスティーヌになったなあと思います。
意外にもあの一番有名な怪人のテーマは序盤の一瞬でしか使われていないんですよね。
あくまでもクリスティーヌを演じるということで、その序盤では怪人との出会いの衝撃や戸惑い、運命が変わっていく瞬間のようなものを感じられる効果があった気がします。
中盤の『Think Of Me』は歌うようなステップ。優しい表情と美しい腕使いに目を惹かれます。
特にステップ終わりあたりで、片腕ずつ前に差し出してから胸の前でぎゅっとする仕草が可愛らしくて素敵。
クライマックスのコレオでは、真の自分が解き放たれたかのような爽快感があります。
スパイラルでグーッと盛り上がってサルコウで小さくガッツポーズ!そのままスピンの流れがすんばらしいですよ……。
ラストスピンへ向かうときの涙を拭う仕草でもう別れの切なさが……。
アップライトで両手を胸元で握り、悲しみを堪えて振り切るような姿を見せたのに、最後は涙まじりの笑顔で振り返って手を伸ばす。
なんて素敵なんだろう……。もう胸がいっぱいになる。
何度も何度も繰り返し見て、ますます好きになる、私にとって宝物のような作品です。

ソチオリンピックでは4年前と同様に8位入賞。最後の世界選手権でも入賞を果たし、あっこちゃんは競技の世界から引退しました。
その世界選手権のエキシビションでは『ラベンダーの咲く庭で』を披露。
https://youtu.be/zSsF-EGNacU
このプログラム、作品としてすごく好きなんですよね。
優しい気持ちになれるんだよなあ。
途中で転んでしまうんですけど、その姿がなんだか初めて見たウエストサイドストーリーのときのようで、ホッコリしました。
そこからすぐに振り付けにつなげるところはもうさすがのひと言。転んでもただでは起きないってこういうことなのかな。(笑)
スパイラルのシーンで、何かこう、氷上からの景色を目に焼き付けるように大きな瞳を瞬かせながら滑っているのが、すごく印象的でした。

引退後のあっこちゃんは、振付師として、そしてプロスケーターとして今も輝き続けています。
いろんなかたちで活躍が見られるのは、やっぱりうれしいですよね。
プロになってからの演技も素敵なものが多いので、特にお気に入りのものをいくつか挙げてみたいと思います。

『Love Dance』
https://youtu.be/5kWk7QS3T14
現役最後のシーズンのエキシビションだったもので、2016年のスターズオンアイスで再演しました。
深い緑と紺色の衣装が上品で美しいです。
「禁断の恋をした女性の葛藤」がテーマということで、最初は微笑んでいたり嬉しそうな表情を見せながら手を伸ばす振りが多いですが、段々と表情は曇り、苦しみのうちに祈るような姿も見られるようになります。
終盤では何かを諦めたような顔にも見えました。
物語が見て取れる作品なので、見ていてすごく惹き込まれるんですよね。
曲そのものもドラマチックで好きです。

『風の神の歌』
https://youtu.be/daJimWhFxNM
2018年にカーニバルオンアイスで演じた作品です。
この衣装!舞姫というか、異国の巫女のような感じの雰囲気でめちゃくちゃ似合っています。
祈りながらのスピンが曲にマッチしていて素敵。
まるで人ならざるものに憑依されたかのような動き、表情から目が離せなくなります。
細かくて鋭いステップは現役さながら!解説でも言われているように、いろんな過去の作品を思い起こさせる感じですね。
そのあと、後ろ向きのまま片足でスーッと滑ってラストポーズ!カッコいい!!
これは実際に現場で見ることができて、凄く嬉しかったのを覚えています。
会場も、あっこちゃんの演技に飲まれたような雰囲気になって、スタンディングオベーションでした。
また見てみたいプログラムです。

白鳥の湖
https://youtu.be/hAE5qpKwZ6o
2016年で演じたプログラムをブラッシュアップ&マイナーチェンジさせた2019年バージョン。
ポージングのひとつひとつが、以前よりもさらに美しくなっているんですよね。
手の表情が凄くはっきり見えて、感情の揺れ動きや変化みたいなものが伝わってくる感じ。
黒鳥になってから一瞬立ち止まって振り返ったときの表情が妖しくて最高。
スピンのときの腕の表現は昔から凄いけど、このプログラムではより際立っているように感じます。
はーーーーラストポーズ良すぎ。

『手紙~拝啓十五の君へ~』
https://youtu.be/GpeWmaKX_kg
2019年のファンタジーオンアイスでToshiさんとコラボした演技。
この曲が凄く好き、というのもあるんだけれど、やっぱりこの曲はあっこちゃん本人のスケーター人生と、つい重ね合わせてしまいそう。
曲と呼応するように表情を変えて滑る姿が胸に迫ります。
序盤は本当に15歳の少女のように不安そうで切ない表情を見せるんだけれど、中盤のパートに入るとガラッと変わって笑顔になる。
包容力すら感じさせるような、安心感のある表情になるんですよね。
「ラララ~ラララ~」のところで手を叩くの最高すぎ。キラキラした笑みに泣きそうになる。
終盤は希望を感じさせる柔らかな表情。最後は手紙をそっと閉じて手を伸ばす。
「今を生きていこう」のメッセージが真っ直ぐに響いてくる名コラボだと思います。

あいかわらず長々と語ってしまいましたが、記事にまとめたことであっこちゃんのことがもっと好きになったし、自分があっこちゃんのどこを好きなのか再確認できました。
あっこちゃんは私にとって、生き様がにじみ出ていると感じられるスケーターで、その生き様が見ていて美しいし、もっと見ていたいと思わされるものなんですよね。
これからも、その踊り心のままにスケーターとして、振付師として頑張っていく姿を応援していきたいと思います。